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『2.43 清陰高校男子バレー部 春高編』

というわけで、前回の予告通り<春高編>の感想です。

その前にちょっと補足というか注意書きですが、私は以前、無料ブログサービスを使って本の感想を投稿してた時期がありまして、今回の感想は当時(2018年)ブログへ投稿した内容をそのまま持ってきています。
(一個前の無印の『2.43』の感想は当時のものをちょっと手直ししました。)

今回あげるにあたって改めて書き直そうかなとも思ったんですが、読んだ直後に書いた、当時の勢いのままの文章の方が作品の魅力や私の「好き…!!」の熱が伝わるかと思ったので、今回はそのままあげることにしました。

わざわざ断りを入れる必要があるのかどうかも迷いまいたが、一応。

では以下、<春高編>の感想です。


いい終わりだった。

ほんと。

すごいよかった。

以下めちゃくちゃネタバレありますので読んでない方はご注意を。
というか、読んでる方にしかわからないと思うので注意というかすいません。

ちなみに『2.43』シリーズを知らない方は、以前書いた記事をどうぞ。
→ 『2.43 清陰高校男子バレー部』あらすじと感想

正直私読み始める前は、今回の巻は、悪い言い方をすれば「ただ」全国の舞台でアツい試合をして、勝つか負けるかして、一層チームの絆が深まって、次に向かっていく――。

そういう展開を想像していたんですよ。
それはいわば青春スポーツ小説の王道の展開で、細かいところで違いはあれど、大筋は変わらないはずです。

極端に印象づけるために「ただ」という言葉を付けましたが、もしそうだったとしても、この『2.43』という作品は、キャラクターや試合の臨場感、それぞれの葛藤や成長の過程が丁寧に描かれているので、十分におもしろい、アツい、胸に来る話なんです。

でも。

今回はそれだけじゃなかった。

というより、それらがあった上で、さらに予想していなかった展開と結末が用意されていた、と言うべきか。
他の方がどうだったかはわかりませんが、私はそうでした。

今回、全国大会真っ最中の灰島に、東京の強豪私立から、引き抜きの話がくるんですね。
それも同じ大会に出場中の、勝ち上がれば対戦する相手から。

灰島の実力を考えればそういう話があって当然なんですが、今回は全国大会の試合模様とその中で深まってくチームの信頼関係だけを真正面からがっつり書くんだと(勝手に)思ってたので、予想外のスパイスが入ってきた感じ。
でもそれが、私が心を掴まれた終盤に繋がっていくんです。

なぜなら。

私は、灰島は行かないと思ってた。

それは、過去の人間関係のトラブルから、灰島が「清陰でしかできない」というよりは、祐仁たちと出会って、彼らに受け入れられて、少しずつだけど積み重ねてきたものがあって、チームはまだまだこれからだから、「清陰でしたい」、「ここはもっと強くなれる」、「強くする」という気持ちで、灰島は清陰メンバーたちと今後一層いいチームを作っていくんだろうと思ってたんです。

でも、違いました。

見誤ってました。

すごいとか好きだとか言っときながら、私は全然灰島のことわかってなかったということですね。
というか、私の中で勝手に灰島の可能性を潰してたというか。

けれど、祐仁は違った。

灰島の今以上の可能性がちゃんと見えていて、かつ、頑なな灰島を動かした。
だから、祐仁たちに対しても見誤ってたってことですね。
ごめん灰島。ごめん祐仁。

……って、思うほど、彼らがすごいと思ったんです。

祐仁も、棺野も、受け入れたメンバーも決断した灰島もすごい。
灰島を送り出すという決断をした彼らは、本当に灰島のことを思ってる。

灰島がいなくなることは痛いとわかりきっているのに、送り出すという選択をした祐仁たちが真っ直ぐすぎて。
信じる強さというか、色んな思いがありつつもそれらを全部飲み込んで、本当に相手のためになることを思ってとる行動。

ほんと、灰島はいい仲間に出会えてよかった。
そして、祐仁たちも、灰島のおかげで強くなれた部分があるんだと思います。

そんで、『2.43』では対戦校のこともクローズアップして描くんですが、今回の対戦相手たちも、いい個性を持ったいいやつらばっかでした。

特に福蜂の統と同タイプの、箕宿の弓掛。

「あと10センチあれば日本の救世主になれた」と惜しまれている175センチのエース。

ムードメーカーでいつでも前向きで強い弓掛が、誰もいない廊下で蹲って声を殺して泣いてた時は、こっちも苦しくなりました。しんどすぎる。切なすぎる。

でもこれが勝負の世界だし、それが現実だし。
でも弓掛は、これからもっともっとでかくなる男だと思います。

そして景星の浅野も浅野で、リアルなキャプテンだった。
弓掛とはまったく違う、浅野のチームの作り方。

後悔して、苦労して、自信が持てなくて、でも自分のやり方でチームをまとめていった浅野。
「勝たせたい」「優勝旗を持たせたい」と後輩に思われていたことが、浅野のやってきたことを物語ってますよね。

それぞれのチームに、それぞれが歩んで来た道がある。
でも、チーム全員がどれだけ強い思いを持ってても、頂点に立てるのは一校だけ。
だからこそ、必死になる。必死という言葉じゃ全然足りないほど、一途に、猛烈に、ただそれだけを求めてボールを追う。

いやぁーもう、アツい。切ない。
表現する言葉が足りないけどとにかくいい。
何度となくうるっとさせられました。

ぜひ、祐仁と灰島が敵同士で戦う来年の春高編(国体編でもいいけど)や、ユース編を書いて欲しい。
今漫画化もされてるみたいなので、そっちはまだ見てないですが、単行本化されたら読もうかなぁと思ってます。楽しみ。

山川あいじさんのイラストやカバーデザインも好き。
『2.43』は元々ジャケ買いから入りましたからね。
私は本を読む時いつもカバーをはずして読むんですが、中の本体のイラストもいいです。
弓掛と浅野。「星の激突」よりは穏やかな、星が輝く背景が合ってる。

これで終わるのかなー。
終わらないでほしいなあ。
さっきも言ったけど、来年以降の春高編やユース編が書かれたらめっちゃ喜びます。

「ユニチカー!」

っていう最後の一行が、とてつもない余韻を残してます。


――と。

以上までが、発売当時に読んでブログに書いた感想です。
この後、Webで4thシーズンの連載が決まり、アニメにもなって、いよいよ来月Web連載をまとめた<next 4years>が発売されるんです…!

あー待ってた!

待ってたよ……!

ちなみに続編は春高編でも国体編でもユース編でもなく大学編でした(笑)
何編でもいいよ、また彼らに会えるなら。

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