※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

『光が死んだ夏』

「このマンガがすごい!2023 オトコ編」1位を受賞した漫画。

とある集落で暮らす少年・よしきと光。二人は小さい頃からずっと一緒に育ってきたが、ある時光が山で行方不明になり、1週間後に戻ってきた時には別のナニカにすり替わっていた。

見た目は「光」そのものだが、「光」とは違う「ヒカル」。

それでもこれまでと同じように接していたよしきだったが、ある日ヒカルに疑問をぶつけた時から、日常が崩れ始める。

自分が「光」ではないと認めた「ヒカル」だが、これまでどおり「光」として暮らしたいと懇願され、それを受け入れたよしき。
しかしその選択が、次第に周囲に歪みを生じさせ…。

というのが簡単なあらすじ。

まず印象に残るのが、独特な表現方法。
歪なフォントでページいっぱいに書かれたセミやカエルの鳴き声に不安と緊張を煽られます。

「ヒカル」になったとんでもなくやばそうなナニカ、「ノウヌキ様」というキーワード、老婆の死など、不穏な空気にぐいぐい引き込まれると同時に、「光」の面影を「ヒカル」に見てしまい、振り払えないよしきの切なさにやられます。

そして力を持ったやばそうなやつなのに、なぜかよしきに好意を持ち、嫌われることを恐れる「ヒカル」。それは「光」の意識がどこかに残っているからなのか、それとも「ヒカル」が自分でも自分が何者かよくわかっておらず不安定だからなのか…。

個人的に民俗学が絡んでくる話も好きなので、「ノウヌキ様」というワードが出てきた時にめちゃくちゃわくわくしました。
あとホラーとミステリと青春要素のバランスが絶妙でいい。

真っ青な背景に人物一人だけ、という思い切ったカバーデザインも目を引きますよね。
これが商業デビュー作らしいのが驚きです。

3巻では「ヒカル(=ナニカ=ノウヌキ様?)」を追うキャラも出てきたし、よしきも「ヒカル」が何者なのか調べようと決意したし、これからもっとおもしろくなりそうです。楽しみ。

タイトルとURLをコピーしました