今月『天官賜福』の新刊発売だ~、楽しみ~♪
と、わくわくしていたのにアプリの通知が来ないから、「あれ、そろそろじゃなかったっけ?」と思って調べたら発売延期になってた……。
しかもひと月とかじゃなくて来年て……何があったのフロンティアワークスさん……。
まあ待つしかないから待ちますけど……。
ということで(?)、今日は同じく墨香銅臭さんが書かれたこちらも超人気シリーズ『魔道祖師』の紹介でも。
こちらの作品、原作は中国のBL小説なんですが、2015年にオンライン小説サイトで小説が連載されると瞬く間に人気になり、単行本化、ラジオドラマ化、アニメ化、漫画化、実写ドラマ化、ゲーム化など、できる形態すべてやりました! ってくらい、メディアミックス展開され、中国で社会現象になるほど人気になったそうです。
そして2020年に日本に上陸。
先にラジオドラマやアニメが公開されていたようですが、その辺私は全然知らなくて、書店に並んでいる本を見て、この作品の存在を初めて知りました。
なので最初は「絵めっちゃきれいだし、タイトルも金箔で気合入ってるし、おもしろいのかなー」くらいの軽い気持ちで手に取ってみたんですが……。
いや、めっちゃおもしろいやん。
中華BLは初めて読んだんですが、この世界観、キャラクター、最高。
読み終えてすぐ続きが出るのが待ち遠しくなりました(今はもう全4巻で完結してます)。
以下小説版のさわり(小説とドラマなどでは若干ストーリー構成が違うらしいです)。
舞台は妖魔や邪鬼が存在する古代中国を下敷きにした世界。
修真界というその世界には、仙術や道教の修行をする修士や導士が数多く存在し、その中でも雲夢江氏(うんぼうジャンし)、姑蘇藍氏(こそランし)、蘭陵金氏(らんりょうジンし)、清河聶氏(せいかニエし)、岐山温氏(きざんウェンし)という、力のある五大世家が多くの仙門をまとめていた。
そんな中、かつて呪術の類を極め、「悪の道に堕ちた」と人々から恐れられ、嫌悪された魏無羨は、危険人物と見なされ討伐の対象となり、凄惨な死を遂げた。
しかし、それから13年後。無羨は別人――莫玄羽(モー・シュエンユー)の体に召喚され、思いがけず現世に蘇る。
正体を隠し、玄羽のまま行動しようとする無羨だったが、そこで莫家の人間が凶悪な左腕(呼び名とかじゃなくて本当に<左腕>)に次々と殺される事件に遭遇してしまい、そこでよりにもよって少年の頃から文武を競い合い、時には戦いもした藍忘機(ラン・ワンジー)と再会してしまう。
自由奔放で快活な無羨と、品行方正で寡黙な藍忘機。
かつてはそりが合わず、衝突してばかりだった(というか無羨が藍忘機を怒らせてばかりいた)はずなのに、再会した藍忘機はなぜか無羨のそばを離れようとしない。
結局、莫家の人間を殺した<左腕>の正体を調べるため、二人は行動を共にすることに……。
ここまでが、一巻前半のあらすじ。
莫家に現れ、次々と莫家の人間を殺した左腕の正体は何なのかという、物語を進めるいわば表の謎はもちろんのこと、どう見てもあっけらかんで人好きのする性格の無羨が、なぜ前世では邪の道に入り、なぜ殺されたのか? 無羨の死後、藍忘機に何があったのか? という、物語の根底に存在する謎が気になって、ページをめくる手が止まらなくなります。
そして何より……。
無羨と藍湛(ランジャン=藍忘機のこと)、この二人のやりとりがたまらんのですよ!
明るく愛嬌があって、時に人の神経を逆なでしつつも、面倒見もよく基本人たらしな無羨と、極めて優秀だけど真面目で融通が利かず、感情の読めない藍湛(ちなみにどちらも美形)。
少年時代、いつも仲間たちとふざけていた無羨のことを、常に冷ややかな目で見ていた藍湛なのに、玄羽の体に召喚された無羨がいくらふざけたことをしても、離れようとしない。どころか、読者の目から見たらどう見ても…。
「え、これ藍湛、莫玄羽の中身が無羨ってことに気付いてるの?気付いてないの?」
「友の好きなの? ラブの好きなの?」
「え、いつから?」
「死んだ後も13年間ずっと想ってたってこと?」
「え? 何? 一途?」
と。
語られない藍湛の内心をあれこれ想像して悶えて、そんなことは露とも思わない無羨が、藍湛を挑発したりするのににやにやして。
もう、あっという間にはまってしまいましたよね。
こんなに魅力的なキャラクター、没入する世界観をつくり出せるのがすごいし、破綻なく、けれどドラマチックに伏線が回収されていく気持ちよさがたまりません。
シリーズ後半の「そうだったの……!?」という驚き。
あ~~~~~……
無羨……! 藍湛……!!
ってなる。
私はこの作品が初めての中華BLだった(そして他の作者の小説をまだ読んだことがない)ので、こういう世界設定がBLに限らず中国の小説界でメジャーなのかマイナーなのかどうかわかりませんが、つくり込まれててすごいなと思いました。
最初こそ名前の音に馴染みがなく、呼び名も何個もあって、本文と人物紹介ページを行ったり来たりしていましたが、慣れれば一気読みのおもしろさです。
(たとえばこの記事でも藍忘機のことを途中「藍湛(ラン・ジャン)」と言いましたが、
「姓+字(本名)」は「藍忘機(ラン・ワンジー)」だけど
「姓+名(通り名)」は「藍湛(ラン・ジャン)」、
「号(称号)」は「含光君(がんこうくん)」
と、一人の人物に対していくつか呼び名があるんですよね。
無羨の場合は、これら三つ以外にも、たまに「阿羨」とか「羨羨」とか色んな呼ばれ方をするので、初めての呼び名が出てくると一瞬「誰?」って戸惑ったりしました。
まあ会話の流れと含まれている漢字で誰を示しているのかはだいたいわかるんですが…)
これから初めて読む方の中には、もしかしたら名前がなかなか覚えられなくて話に集中できない!って方もいるかもしれませんが……
あきらめないで……!!
慣れるまでの辛抱だから……!
その先はめちゃくちゃ楽しい世界が待ってるから……!!
しかしですね。
この『魔道祖師』読み始めた頃に、この方は他にどんな小説書いてるんだろうと思って調べて衝撃を受けたのが、ウィキペディアで見たこの一文。
「現在、執筆活動は行っていない」
……
っぇえええええ――――――っ!?!?!?!?
うそぉぉぉぉぉぉ―――――――っっ!!!!!
こんなにおもしろい小説を書く人なのに……!
もう好きになっちゃったのに……!!
お忙しいのか別の理由かはわからないけど、気が向いたらぜひまた書いて欲しい……!
でも今年『すばる』で綿矢さんと対談してて(買った)、その中で「まだ書いてないけど新作の構想はいくつかある」みたいなことをおっしゃっていたので、いつかまた書いてくれたら嬉しいな……。
とういうわけで、『魔道祖師』の紹介でした。
ほんとにね……おもしろいから……!
無羨と藍湛、最高だから……!(江澄(ジャンチョン)も好きだよ……!)