物語の舞台は西ディコンセ大陸に位置する大国・聖イジョルニ帝国。
帝国領内にありながら、法皇領と帝国十二州、いずれにも属さない地域・レ―エンデは、山脈と湖に囲まれた閉鎖的な土地で、全身が銀の鱗に覆われて死に至るという風土病〈銀呪病〉があることから、古来〈呪われた土地〉と呼ばれていた。
物語の主人公は、レ―エンデの北に位置する帝国領・シュライヴァ州の領主の姪であるユリア。
ユリアが15歳の時、レ―エンデとシュライヴァを結ぶ交易路を造るため、シュライヴァ騎士団の団長である父・ヘクトルがレ―エンデに向かうことに。
城での生活や、自身の未来に希望を感じることができずにいたユリアは、父に頼んで一緒にレ―エンデについて行く。
レ―エンデでの案内役兼世話役として紹介されたのは、寡黙な青年・トリスタン。
最初は無愛想なトリスタンだったが、次第に打ち解け、三人で過ごすレ―エンデでの日々は、ユリアにとってかけがえのないものになっていく。
しかし、昔からレ―エンデに伝わってきた伝承や、帝国の権力者たちの欲望が争いを引き起こし、ユリアたちも否応なく巻き込まれてしまうことに…。
というのが、簡単なあらすじ。
ド直球の骨太なファンタジーです。
多崎さんのデビュー作の『煌夜祭』を読んだことがあって、それがすごくおもしろかった記憶があったので、この本を見つけた時もそう悩むことなく購入を決めました。
結果、大正解。
作り込まれた世界観。
最初こそこの世界ならではの風景がうまく想像できなかったり、読みながら地図のページを見返したりしてましたが、慣れてくればもう没頭です。
交易路を造るための交渉と下見に来た父親とは違い、ユリアはレ―エンデにこれといった目的があって来たわけではない(子どもの頃からレ―エンデに憧れはあったものの、それよりも城から逃げることの方が重要だった)ので、最初の方はユリア主人公でどう物語が動くのかなーと思っていたんですが……
――激動でした。
読後放心状態。
最後の数ページ、「えっ、待って待ってここそんな簡単に済ませちゃう?」と思わなくもなかったですが、あの部分をしっかり書こうとすると、あと5冊くらい必要になっちゃいそうですもんね(それはそれで読んでみたい気もしますが…)。
とにもかくにも、ユリアとトリスタン、二人の決断に終盤は目頭が熱くなること間違いなし。
はぁーーもう……
トリスタン……!
いやユリアもだけど……!!
真っ直ぐな二人に心臓撃ち抜かれました。
で、読み終わってから調べたら、この『レ―エンデ国物語』、今のところ3巻までは発売予定がすでに決まっているそうで。
そして8月現在、もう2巻は発売になってます。買いました。
持った時の厚さと重さにニンマリしました。嬉しい。
3巻は10月発売だそうです。3巻で終わりなのか、それともその先もまだ続くのか?
わかりませんが、好きになった作品の続きがあるって幸せ。
まとまった時間がある時に集中して読みたいので、2巻はまだ読んでいないのですが、机の上には待機してて、カバーを見る度に楽しみな気持ちが膨らんでいます。
読んで感想書けたらまたアップしますね。